「東京ローズ」感想|2023/12
キャストが好きな方ばかりだったため観劇したミュージカル「東京ローズ」
期待を大きく超えて最高でした。
もう一回観たかった…。
素晴らしい企画で、もしもっと長く上演されていたら口コミによってどんどんお客さんが入りそうで、新国立劇場さんすごい…って思ってます。
主人公アイバ役を6名のキャスト全員が順に演じ、ほかのさまざまな年齢、性別、人種の役も演技と衣装で演じ分けますが、とても自然でした。ストーリーも分かりやすい。
この題材を今回のような形で今上演する意味は大きく、演劇や芸術にはとてつもなく強力にメッセージを伝えられる力があると観て実感しました。
初めて入った会場でしたが。裁判所のセットが緊張感を生んでいて、入場した瞬間から没入感があり、それが終演まで続きました。
藤田俊太郎さんの演出は息をつく間が一度もなかった。
アイバ役の交代時に目を合わせて入れ代わるのが好きでした。
特に楽しみにしていた飯野めぐみさん、歌とお芝居の表現が凄まじかったです。
作中最も感情が溢れ涙が止まらなかったのが、飯野さん演じる叔母さんが家を出るアイバと別れる場面と、再会できた場面の2つでした。
普段ミュージカルでメインキャストではほとんど見れないのは本当に何故。
鈴木瑛美子さん、RENTやムーランルージュのような作品にはまるシンガーのイメージで、お芝居がこんな風な素敵さだと失礼ながら全然知りませんでした。
歌の力目力で力強い役も素敵だし、静かなお芝居も素敵だし、男性の役だとお顔も声も演技もイケメンだし、年老いたお父さん役まで演じられて…ファンになりました。
原田真絢さん、1幕ラストのアイバや検察官裁判官など強い声が求められる箇所を担当されていました。
あの声で立ち上がれって言われたら背中を押されるし、煽動される。
パワフルかつ、高音も低音も本当にきれいな響きの声に魅了されました。
シルビア・グラブさんのアイバはずっしり重い存在感があり、辛く苦しくなりました。
少女も少年も演じられる方だと思います、来年のカムフロムアウェイも多彩な役を見られる気がするので楽しみです。
森加織さん、キャストの中でも戦う姿が似合う方。
コリンズ弁護士を経ての、過去が見える最後のアイバ役素敵でした。
それから、コリンズはどんなバックボーンの人物だったのだろうと非常に興味が湧きました。
初めて拝見した山本咲希さん、歌が強かった。
最初のアイバと最後の少女の瑞々しさや目の輝きは、この作品に不可欠なものでした。
この作品で出会えてよかったです。
こんなに歌の力を感じるミュージカルは稀です。
ハーモニーも美しく聴き惚れ、キャスト全員が格好よすぎて惚れました。
スウィングが柴田実奈さんなの納得でした。
今後もいろいろな役でずっと見続けたい方々で、この方たちを目当てにチケットを買いたいです。
公平なフルオーディションでミュージカルを作るとこんなになるんだと…すごいものを観れて幸せだなと、ミュージカル好きでいてよかったなと思いました。
また、パンフレットの内容が大変濃く知りたいことが書いてありました。
登場人物の多くが実在の人物だったことや、ストーリーが史実に近いことを知りました。
アイバの人生が劇的すぎて史実を読んでも圧倒されてしまいます。
戦時中の日本でアメリカ国籍を頑なに守ったこと、捕虜に差し入れしていたこと、戦争にアメリカが勝ち素直に喜べるたくましさ、長く刑務所に入れられ理不尽にすべてを奪われても前を向いて生きれること、普通ではなくてフィクションのようなのに。
幸運にも最前列から、ラストシーン、明るい照明に6人のシルエットが浮かびゆっくり暗転していくのを見上げていました。美しく大好きなラストでした。
今年初のブログ更新になってしまいました。
いろいろ観たのですが時間が取れず…年末年始で残しておきたい感想を一気に書きたいと思っています。
「東京ローズ」
2023年12月7日~24日
@新国立劇場 小劇場
「東京ローズ」公式サイト