雲母紙鳶(きらのとび)感想|2022/6
ミュージカル座、藤倉梓さんの新作「雲母紙鳶」、藍組の回を観劇しました。
江戸時代の浮世絵師たちの話だけれど、今の話。「コロナ禍と芸術」をストレートに描いた熱い作品でした。
藤倉さん(脚本・作詞・作曲・演出)が2020年、公演中止の連続だった時期に生んだ作品、非常に刺さりました。
絵を描くことが生きることであり、せっかく特別な才能を持って生まれた絵師が、一度しかない人生で、どうして描くことをやめなければいけないのか。
こんなに描きたいのに描くことを許されない理鷹が切なくて序盤から涙。「時の流れを止めて閉じこめたい〜」的な歌が印象に残っています。
夢中で絵を描く、描くことの喜びを全身から滲ませる理鷹のような芸術家の姿は、美しくて心惹かれます。
コロナみたいな事態がなくても、芸術を仕事にすると過酷で理不尽な環境に身を置くことになりがち。
凡人一般人の自分も芸術がないと生きれない、計り知れない力をもらっています。
それを提供してくれる表現者の方々が、できるだけ芸のことだけ考えて苦しまないでいられたら、いて欲しいと普段から思っていますが。
松本レミでのシュガーさんのご挨拶も思い出しました。
基本結末までのネタバレを知ったうえで観劇したいタイプですが、今回は知らなくてよかった、終盤の展開に感情が激しく揺れました。
予備知識ゼロでも、説明があり分かりやすかったです。
歌と踊りに彩られ、楽しいシーンもたくさん。
洋を取り入れた和な衣装がとても素敵で豪華、美術も素敵でした。
小さめの劇場で、舞台上からの力強いエネルギー、生命力を受け取りました。
「憂世を憂いて終わらすな。浮世絵に雲母(きら)を塗り返せ。」ってめっちゃかっこいいし力をもらえます。
特に絵師4人(理鷹:金子大介さん、勇助:岡田亮輔さん、鉄蔵:吉田雄さん、一陽:田中秀哉さん)のキャスティングに納得です、皆さん魅力的でした。
振付も担当されている陶晶瑛さんの表情所作が好きで、衣装もお似合いすぎて素敵でした。
観れてよかった。もう1度観たかった、再演され、たくさんの人に届いて欲しい作品です。
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